"iratsume" ->> Nihongo ->> 「分野別」エッセイ ->> カワイイコニハマタタビヲハカセヨ ->> イギリスのゲイ事情 (2) by サミィ

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結局イギリスのそこそこ大きな街でもたった月2のカフェしかやってなくて場所も知れてないような所なんだーとがっかりしつつも、毎日、学校へ行って、犬の散歩に行って、宿題をして寝る、コミュニティも見つからないまま、再び単調な生活が始まった。

それから数日後こんなことではダメだと自分を奮い立たせ、私はひとりで動き始めた。知り合いが近くの大学で日本語の先生をしていて、そこのクラスの子が日本人と交流したいと言ってることを知り、授業にお邪魔させてもらうことになった。クラスは10代から40代の幅広い年齢層の人が15人くらい。初級クラスだが、レベルにかなりバラつきがある。「正しい日本語」なんて普段使わないので、いちいち感心したりする。ニコニコ適当な日本語で話していたら、あっという間に終わりになったので、慌ててコンタクトを取れる人を探す。

メールでいいので連絡くださいと言って、帰ろうとしたら、何人か男の子が寄ってきた。カワイイなぁと思っていた女の子はそそくさと帰ってしまってがっかり。私は男の子たちと簡単な自己紹介をして、その日はそのまま家に帰った。

次の日、いつものように昼休みにメールチェックをしていたら、昨日喋りかけてきた一人からメールがあった。
「すごいカワイイし、また会いたいです」えっ?と思ったけどまぁ社交辞令だろうと思って、交換勉強の話を書いて、何度かメールのやりとりで実際に会うことになった。17歳の男の子。私は、イギリス人の友だちができることが嬉しくて少し舞い上がっていた。一生懸命日本語を教えて、私は激しいスラングの英語を必死で聞き取ろうと必死だった。Wに何度も恋人になってと言われたけれど、無理だと言ってそれでも何度も会ううちに、性的な関係になってしまった。

それでも私は恋人になる気はなかった。ヘテロ恋愛への嫌悪?トラウマ?女同士への幻想?色々なものが積み重なって私は「異性愛者ではありません」というプラカードをさげたまま、日々の消化としてWと付き合うことになってしまった。

デートと言っても、何もすることもない小さな町で、夜にご飯を食べたり呑みに行くくらい。おまけにWはゲームオタクで、私と過ごす時間より、ゲームの方を優先するような人。ある日、つもりにつもった不満で、私は「本当は女の子と付き合うつもりだったのよ、あなたと付き合うつもりなんてなかった!」と言ってしまった。
Wはあいた口がふさがらない…というような顔で私を長い間沈黙で見ていた。Wにとってとてもショッキングな発言だったということはよくわかった。

私としてはバイセクシュアルだというカミングアウトは付き合う宣言した次の日に言っていたし、その時は「ボクの兄貴はゲイなんだ。」と言ったくらいで特に驚きもしなかった。こっちが拍子抜けしたくらい。なのにそんなにショックだったのか、その時の私にはわかるはずもなかった。
その後、彼は私に「ボクが女の子だったらよかった?」というようなことを聞くようになった。しかしもうその頃には私のパートナーが男か女なんてことは重要ではないんじゃないかと思うようにしていたのでさして気にも留めていなかった。

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Text by Sammy
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    25.09.05
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