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"iratsume" ->> Nihongo ->> 「分野別」エッセイ ->> hometownless “良心的”診療拒否も許すな (1)
“良心的”診療拒否も許すな:マジョリティでマイノリティ (1) とあるホットラインに心配事があって電話したことがある。さて近所の適当な医者を紹介してもらえるとなったとき、アジア人と同性愛者に偏見のない人を、という指定をしたら、電話の相手に戸惑われた。 「女性」という指定ならできたのだが、たぶん私が気にするような情報はリストに載っていなかったのだろう。こちらの希望を述べた途端、相手はシドロモドロになってしまった。けれどもこっちはいつになく心も体もなんだか弱くなっていたから、なるべくいやな思いはしたくなかったし、いくつもクリニックをはしごするなんてまっぴらだったし、自分にとっての譲りたくない条件といえばそれしかなかった。結局このときは紹介を受けずに、その後にっちもさっちもいかなくなり、意を決して飛び込んだ先がいいところで助かったけれど。 ただ自分が医者を選ぶときに不安に思っていたことがそこにあったのかと、そのとき口をついて出た言葉に一番驚いていたのは、自分自身だった。 あえて、上の条件に当てはまる医療機関を見つけたいのなら、ゲイ・レズビアンが住んでいるらしき地区にあるアジア人ぽい名前の医者がいるクリニックを手当たり次第覗いてみるしかなかったのかもしれない、あるいはクチコミを頼りに探すか。しかしなじみのない地域ではこんな方法なんて取りようがない。知らない土地ではどこにゲイやレズビアンが多く住んでいるのか分からない。ネットやフリーペーパーやホットラインで情報が見つかるかも場所によってはかなりあやしい。 もしも言葉も習慣も通じなかったら、しかも差別される可能性が高そうなことが分かっていたら、相当不安だと思う。自分の体のことは自分が一番分かってると必ずしも言い切れるものでもない。病気や怪我のとき、不安はより増幅する。 たとえ命に別状がなくても心配事は少ないほうがいいに決まっている。大丈夫と思って行った先の医療機関で診察拒否なんて遭いたくない。そして、ありがたいことに診察拒否してはいけないということに、日本の法律はなっている。 医師法第19条 1. 診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由[1]がなければ、これを拒んではならない。... そう、日本の医師法でいうところの医師は基本的に診察拒否してはいけない。そこで日本医師会は、日本の医師法とアメリカ医師会の倫理綱領を以下のように比べて述べている。[2] アメリカ医師会の考え方は、日本の医師法とは対極的である。アメリカ医師会倫理綱領は「医師には患者を選ぶ権利がある。しかし救急処置が決定的な意味をもつ緊急時には、能力の最善を尽くさなければならない。また医師は、一旦引き受けた患者を遺棄してはならない」「医師は、患者関係に入るか否かを選択する職業上の特権を有し、それに従って患者に治療を提供する責務を果たし続けなければならない」としている。 医師に患者を選ぶ権利があるという部分を身も蓋もない言い方でいうと、アメリカの医者は金を払わないやつを診なくてよい、という意味に解釈される。 ->> “良心的”診療拒否も許すな:マジョリティでマイノリティ (2) ->> Text by Janis Cherry << 参考URL・メモ >> http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO201.html http://www3.kmu.ac.jp/legalmed/lect/law.html [1] 正当な事由になるのは「留守、病気」の場合で、不等な事由は、「診療費未払、時間外、往診拒否、専門外」の場合。判断の基準になるのは、「代替性、救急性」だそう。でも救急のときに、救急専門の窓口に行け、と言うのは良いのだと厚生省。 [2] 米国はその連邦政府憲法で国民の生存権を守ることを国の義務としていない。 たとえば日本国憲法第25条で、日本という国は「国民」の生存権を認め、福祉国家を目指している。「国民」でない住民については国民健康保険の要件が見直されたり、各自治体の条例や行政の権限で柔軟な運用になっているところもある。とはいえ、やはり厳しいことに変わりはないよう。 1. すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 2. 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。 外国人医療・生活ネットワーク(編) 価格: ¥840 出版社: 移住労働者と連帯する全国ネットワーク http://www.jca.ax.apc.org/migrant-net/ ; ISBN: 4877982027 ; (2004/02) http://www.bekkoame.ne.jp/ro/jinken/jinken-db-06.htm 社団法人 神奈川人権センターのウェブサイトより。『移住労働者の権利条約』 28.09.04 Copyright © 2002-2008 "iratsume." All Rights Reserved. |