"iratsume" ->> Nihongo ->> 「分野別」Essays/Feminist News ->> エッセイ カワイイコニハマタタビヲハカセヨ カムアウト 〜 U.K. バージョン その1-1

 England に来てから 2ヶ月が経った。最初の 1ヶ月は何をしていたのか、何を考えていたのかあまり思い出せない。語学学校に馴染めずにいたことと、過食症に走っていたことと、たくさんの日本人に会ったこと、TVを見てもすぐ眠くなったこと位だろうか。

1ヶ月が経って相変わらず体調はよくなくて、ホームシックにかかったりしていた。TVを見ても眠くならなくはなったけれど、ストレスでどうにかなってしまうんじゃないかと思った頃に、John が現れた。

John はホッケーで足を折って来れなくなった Richard の代わりの、つまり臨時 Teacher なんだけど、1週間だけ私のクラスで教えることになった。彼が教室に入ってきた途端、私は笑いがこみ上げて仕方がなかった。彼の身振りそぶりは 360度回転したって Gay にしか見えなくてそのうえ、Robbie Williams がスキだとか如何にもわかりやすい話をするので、私は会った時点で 90%彼を Gay だと思っていた。
とにかく彼が Gay じゃなかったとしても、私は彼に Come out することを決めていた。

なにしろ彼は 1週間しかここにいないのだ。そう思った私は次の日にクラスメイトが全員教室を出るチャンスを待って、彼に一枚の紙を見せた。そして、私は「この紙に書いてる意味がわかる?もしわからなければいいんだけど、もしわかったらアドバイスをくれない?」と尋ねた。紙の内容は11月に開かれる「 Rainbow Pride 」パーティの紹介文だった。それはすばらしく回りくどい Come out だったけれど、彼は一息ついた後に「OK、キミはこの Party に行きたいんだよね?ここに書いてある意味は全部わかった?そう、僕はこのイベントに行ったことがないけれど、よくわかるよ。そう、僕はGayだ、キミは知っているよね」

そして、今度は彼が私に尋ねる番だった。
  "Are you Gay?"
  "Yes, I am gay, and I am bisexual."

それから私たちはクラスメイトが戻ってくるまでの数分、お互いについて話をした。

 とにかく私は押入れから出てきたのだ。泣きそうなくらいうれしかった。だけど、それから私はどうしていいのかわからなかった。こっちで買った DIVA というレズビアン雑誌には大きな街の情報しか載っていなかったし、載っていたところでひとりで行く勇気もなかった。再び私は憂鬱に陥った。何もかもがうまくいかないような気さえして、授業中も上の空だった。

数日後、Lunch time に私は John に会いに行った。
「どうしたの?」
「うん、元気ないんだ。ちょっとしんどいの。」
「それは、精神的なもの? OK、外に出て話そう」
「何かあった?」
「ううん、何もない。何もないということがしんどい。日本では Queer な友人もいたし、そのことについて話す友人もいた。だけど、こっちではそれについて話せる友人がいない。それが私をひどくナーバスにしているの」
「わかった、来週末、僕の家に遊びにおいでよ。僕のパートナーを紹介するよ。ご飯を食べて、それから Gay club に行こう。うちに泊まっていってもいい」
「本当に?ありがとう、すごく楽しみにしてる」

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Text by Sammy
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    << 参考URLs >>
  • DIVA: lesbian magazine
    http://www.divamag.co.uk/diva/

     
  • Robbie Williams: The official Robbie Williams web site
    http://www.robbiewilliams.com/

     
  • PINKSPAGE.COM: The official P!NK website
    http://www.pinkspage.com/

     

    17.06.04
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