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"iratsume" ->> Nihongo ->> 「分野別」エッセイ ->> 灼熱天国 カリブ通信 2B-2
考えてみるに、東洋系(ここではモンゴロイド、黄色人種的な特徴を強く持つ日本人や中国人系と限定する)の顔つきを持つ人を、国籍別に認識することは、当事者である東洋人自身にも困難な場合もありうる。 日本人の中にも中国人っぽい顔つきを持つ人もいるし、日本に帰化した中国人や韓国人だっている。逆の場合だってあるわけだ。 その当事者にも難しい顔つきによる国籍判別を、地球の裏側にあるカリブの国の人々に求めるのは、そもそも無理な話であろう。 しかし、ドミニカ共和国の人々にとっての「東洋系の顔つき=中国人」認識は、そういう微妙な判断レベルの話ではない。 例えば、もし当地で東洋系の顔つきの人物を見かけたとして、アジア地域の地図と国名が頭にある人ならば、「この人、東洋系の顔つきをしているけど、中国人かしら?それとも日本人?韓国人?」と思い、相手に失礼にあたらない呼びかけをするなら、まず最初に「あなたはどこの国の方ですか?」とたずねるはずである。 ところが、ここでは呼びかけの第一声は必ず「チナ(中国人女性)」である。国籍をたずねるという発想さえなく、最初からもう中国人だと決めてかかっている。 そして、「私はチナじゃないよ」と答えると次に出てくるのが「韓国人か?」、そしてそのあとに「台湾人か?」と続いて最後に「日本人か?」と、やっとのことで日本が登場する。 当地の人々にとっての日本とはそれぐらい印象が薄い。 そして、「日本人」であることを認識されたあとに続く会話が、これまた日本にいる人々が聞いたら悲しくなるような認識度。 つまり、彼ら曰く「香港は日本の都市だろ?」「日本は中国の一部だろ?」「日本人と中国人は同じだろ?」「ジャッキー・チェンは君の友達か?」「ブルース・リーは日本人だろ?」などなど。 世界のジャパンも当地においてはその程度の認識度である。 つまり当地の人々にとって、日本とは中国の一部であり、東洋系の顔つきは全部中国人であり、そして彼らにとっての中国人とはカンフー映画に登場するジャッキー・チ ェンであるわけだ。 そしてアジアには似たような顔つきを持つけれども、国としての政治制度も言語も文化も領土も異なる複数の国があることを、彼らは認識できていないことが多い。 こちらが中国と日本は違う国なんだよ、とどんなに説明したところで、彼らは「そんなことあるわけないだろう、だって顔つきがあんなにも似ているんだから」と納得してくれない。 「日本と中国の領土の間には海があってね、陸続きにつながっていない完全に独立した国なんだよ」と説明すると、皆「ほう〜そうなんだぁ」と一様に驚く。 したがって、当地の車社会で大活躍中の「トヨタ」も「ニッサン」も「ホンダ」も、すぐれた電化製品として尊敬されている「ソニー」も「サンヨー」も、中国や韓国のメーカーと混同されていたり、日本メーカーだけれども中国の一部、のように勘違いされていることが多々ある。 素晴らしい日本の技術や製品も彼らにかかれば十把一絡げな扱いである。 ->> つづき エピソード 2B-3 Text by Chamago 04.02.04 Copyright © 2002-2008 "iratsume." All Rights Reserved. |