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"iratsume" ->> Nihongo ->> 「分野別」FLA・いらつめ活動報告 ->> 反性暴力 パートナーにできること@関西 WE 2003
分科会報告:「性暴力・虐待サバイバーのパートナーにできること」@関西 WE 2003 2003年11月8・9日に大阪府で "女性" 限定お泊りイベント「関西ウィークエンド(関西 WE)」がありました。その中で私 Janis が二日目日曜午前中に分科会を主催しました。主に前半お話したことを下にまとめています。(後半は参加型ワーク) 当初の予定としては、サバイバー本人と、個人的に知っているサバイバーがいる人(恋人や友人)を対象としたワークショップを考えていたのですが、実際にはサバイバーと直接かかわりがないとおっしゃる方もいらしていましたね。 幼児虐待をはじめとする『虐待』は、人によって命にかかわるような危険な暴力加害に限定されてしまうのがいやだったから、このワークショップでは虐待は広く人権侵害であることをまず言いました。 中で少し触れた痴漢犯罪もまた、日常生活の中にある人権侵害です。 それから、援助者がサバイバーとは違った世界に住んでいる幸せな部外者のように振舞わないで欲しいという希望も伝えたくて主催しました。私は、サバイバーを助けようとしている人たちも、やっぱり何かしら問題を抱えていると思っています。そうでなければ、んな面倒くさい人間にかかわるわけがない、という持論。他人に構う前に自分のことに時間をかけた方がいい時もあると思う。 そして援助者も被害者になったことのある人も、自分自身の人権意識を問い直したり、セックス観やカップル観を考え直す過程そのものを、ワークショップの時間内に少しでも共有できたらと思っていました。(そこまでつっこんで話してはいなかったし、できなかったんだけれど) 今後、同様のワークショップやサバイバーのための自助ミーティング企画を考えています。詳細が決まり次第、FLA・いらつめのサイト上でもお知らせしていきます。今回、紹介した参考ウェブサイトや書籍も、ご利用ください。 ->> 詳細 <<- Thanks a lot to >> 今回のワークショップに来てくださった方、参加してくださって本当にありがとうございました。雑なレジュメですみませんでした(しかもオリジナルは紛失;焦)。 J. * * * 1. 人権について 虐待や暴力は、「人権侵害」と言われるけれど、じゃあ人権が守られてる状態ってどんな感じ? 子どもに分かるように人権という概念を説明しよう、そんな難題に果敢に取り組んでいるプログラムのひとつが、米国で開発された子どもへの虐待(特に性的暴力)防止のための教育プログラム、CAP です。(CAP: Child Assault Prevention = 子どもへの暴行防止) CAP の伝えようとしている人権の基礎要素は三つ。人権が守られているというのは、「安心していること」「自分が自分でいることに自信を持てること」「自分の意思で自由に選択できること・選択肢があること」 「安心」というのは、衣食住、生命維持に直結する気持ちです。いつ殴られるか分からない、いつ爆弾が飛んでくるか分からない、明日ご飯が食べられるか分からない、そんな状況は誰にとってもすごく不安です。だから安心できないとき、その人の人権は守られていません。 「自信」というのは、自尊心とも言われる部分です。生まれてこなきゃよかったと言われたり、そう思われてるのが分かったり、レズビアンでいることがしんどかったりすると、自分がここに生きていることそのものがいやになるかもしれません。自信が傷つけられるとき、その人の人権は侵されています。 「自由」というのは、将来への展望を持てるかということでもあります。自分の体のことなのに現在の病状も治療法も知らされていなかったり、女だからと行動が制限されることも自由がないといえるでしょう。自由を奪われるとき、その人の人権は守られていません。 自分が誰かより強者で、加害者になりたくなかったら、相手の「安心」や「自信」や「自由」を脅かしていないかがチェックポイントです。 2. PTSD と子ども時代の性虐待のこと PTSD は「(心的)外傷ストレス障害」と訳されます。トラウマ的な出来事が起こった後、一定の期間を経て、PTSD 特有の症状が現れます。 トラウマ的な出来事とは、命の危険があったり、自分の力ではどうしようもない危機的な状況であったりします。先に述べた、人権の三要素が酷く侵害された状態です。安心も自信も自由もないところ。 トラウマ的な体験をしてしまう場所としてよく知られているのは戦場や、虐待・ドメスティックバイオレンスが起こっていた家庭、また(人権侵害的な)カルト集団など。 そして、そんな徹底的なほどの人権侵害から生き延びた人を「可哀想な弱い人」とは言わず、サバイバー(生還者・生存者)と呼びます。 今回取り上げた子ども時代の性虐待被害が大人になってからも悪影響を与える場面としては以下のようなものがあげられます。(参考:"Allies in healing") もちろん、すべてのサバイバーがすべての影響を強く背負っているわけではありませんし、ずっと同じようにしんどい思いをしているのではありません。 3. 回復への道のり 以下のような段階を踏んでいくことが提案、実践されています。(参考:"Allies in healing") すべてのサバイバーがそれぞれの段階を同じ時間をかけて同じように進んでいくわけではありません。段階を一時的にさかのぼることもあります。途中で足踏みすることもあります。 たぶん多くのサバイバーにとって一番重要で難しいのは最初に癒し始める決断を下すところです。それまでのストレス解消法や発散法ではにっちもさっちも行かなくなって自分自身の癒しにかかわり始めるんじゃないかと私は思っています。癒しとはいうものの、お金も時間も、体力や手間もかかる作業です。他人が無理強いすることもできません。でもかけただけの労力は報われると信じています。 * * * Text/Translation by Janis Cherry << 参考サイト・書籍 >> http://selfishprotein.net/shelter/ 「ノー」をいえる子どもに―CAP/子どもが暴力から自分を守るための教育プログラム サリー・J. クーパー (著), 砂川 真澄 (翻訳) 価格: ¥1,905 エディション: 単行本(ソフトカバー) 出版社: 童話館出版 ; ISBN: 4924938459 ; (1995/11) ※ 森田ゆりさんの本もおすすめ。 Allies in Healing: When the Person You Love Was Sexually Abused As a Child, a Support Book Laura Davis (著) U.S. 定価: $16.00 エディション: ペーパーバック 出版社: Harpercollins ; ISBN: 0060968834 ; (1991/09/01) [2004年8月31日追記] 日本語翻訳が出版されましたが、私自身は原著のメッセージは的確に伝わっていないと思います。余裕のある方は読み比べをおすすめ。『もし大切な人が子どもの頃に性虐待にあっていたら―ともに眠りともに笑う』(青木書店; 2004) The Courage to Heal: A Guide for Women Survivors of Child Sexual Abuse Ellen Bass (著), Laura Davis (著) U.S. 定価: $22.50 エディション: ペーパーバック 出版社: Harpercollins ; ISBN: 0060950668 ; 3rd/Rev/Up 版 (1994/06/01) 日本語翻訳『生きる勇気と癒す力―性暴力の時代を生きる女性のためのガイドブック』(1997/11); 5500円(税別); 三一書房 ; ISBN: 4380972925 ; 絶版 心的外傷と回復 ジュディス・L. ハーマン (著), 中井 久夫 (翻訳) 価格: ¥6,800 出版社: みすず書房 ; ISBN: 4622041138 ; 増補版 版 (1999/11) ※ 犯罪被害者援助や PTSD については小西聖子さんの本が分かりやすい。 2003年12月7日追記:東京でもやります。大阪にも行きます。 第1回は2003年12月27日夜6時より、文京区本郷にて。 大阪では、2004年1月24日午後、大阪市北区のQWRCにて。 http://selfishprotein.net/cherryj/indexj.shtml 2004年8月31日追記:大阪2004年1月のワークショップ報告は、いらつめ人2004年春号に掲載しています。 http://selfishprotein.net/lesart/jap/2004/040323a.shtml 2005年10月18日追記:レズビアンと性暴力被害関係についてはこちらに少しだけ書きました。 http://selfishprotein.net/lesart/jap/2005/051018a.shtml 14.11.2003 07.12.2003 updated 31.08.2004 updated 18.10.2005 updated Copyright © 2002-2008 "iratsume." All Rights Reserved. |