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"iratsume" ->> Nihongo ->> 「分野別」Essays/Feminist News ->> Original articles 企画特集 記事 ロス便り
ヘイト・クライム考(1) 1998年ワイオミング州でゲイの大学生マシュー・シェパードが惨殺された事件のその後を追ったドラマ Laramie Project の映画版ビデオの紹介時には私、知らなかったのですが、 ララミー・プロジェクト 日本語版舞台があったのですね。しかも再演!もっと早く紹介したかった。アンテナの張り方がまだまだですねえ。 そして、このドラマ以上にヘイト・クライム(憎悪犯罪)そのものにフォーカスを当てたドキュメンタリーが作られています。 "Journey to a Hate Free Millennium" (1999) ASIN: 0971730806(「憎悪のない次の千年への旅」 www.newlightmedia.org) この映画、ヘイトクライム被害者家族や友人、事件に触発されて行動し始めたという人たちへのインタビューが中心の内容。事件は三つ取り上げられていて、 (1)先述の "Laramie Project" で主題となっているマシュー・シェパードの事件(ゲイ差別) (2)James Byrd Jr. が複数の男に襲われたのち何マイルも小型トラックで引きずりまわされた上に、頭がない状態の遺体がアフリカ系アメリカ人が集まる教会前に置かれたという事件(アフリカ系人種差別) (3)1999年4月、十数人の死者が出た、高校生によるコロンビア州コロンバイン高校での校内射撃事件(ドキュメンタリー映画 "Bowling for Columbine" (2002) のモチーフ) このドキュメンタリーを知ったきっかけは、"Love to Hate" という直訳すれば「嫌いになるの大好き」という本の中で紹介されていて、見たのだけれど、ため息の連続だった。 特に(2)黒人男性だったから、という理由だけで選ばれてしまったという被害者家族によるの事件の経緯説明が圧巻。ヘイト・グループを立ち上げてメンバーを募集するために、加害者はマスコミで大きく取り上げられるような残酷な事件を起こす必要があった、という。 ビデオ製作の後援には LGBT 人権団体の Human Rights Campaign も関わっていて、特にLGBTが標的となったヘイト・クライムについての情報をそのサイトで発信しています。 それによると… Q. 性的指向が理由でのヘイト・クライムはどのくらいの頻度で起こっているのですか。 A. 性的指向が理由になったヘイト・クライムは、人種によるもの、宗教によるものについで、三番目に大きなカテゴリーになっています。 ヘイト・クライムは実際よりも少なくしか報告されないということが示唆されています。が、それでも統計ではFBIに、1991年以来75,000件近くのヘイト・クライムが、そのうち最近当局が公表した2001年一年間には9,730件の事件が、報告されています。人種によるものが最も多く、ヘイト・クライム全体の53.8%を占めています。民族や出身国によるものは21.6%、宗教によるものは18.8%です。ゲイ・レズビアン・バイセクシュアルのアメリカ人に対するヘイト・クライムは14.3%で、2001年には1,393件が報告されています。 http://www.hrc.org/issues/hate_crimes/quickfacts.asp これがどのくらい実際より少なくて、それでも十分多いかというと、2002年の東京LGパレード公式参加者数が3000人弱だったから、数としてはその半分くらいがアメリカでは2001年一年間にゲイ・レズビアン・バイという理由でヘイト・クライムに遭ってる。 アメリカの人口は日本のちょうど倍くらいだから、割合で言うと、パレード公式参加者のうち4分の1くらいが当事者になってるかもしれないということ。 ただし、一件につき被害者が一人だけ、というのはましなほうだし、HRC の解説にもあるように、自分がゲイだから(ゲイと思われてそれが理由で)襲われたと報告できる状況にある人は、やっぱり少ない。 日本にはヘイト・クライムに関する法律はないけれど、それが日本にあって特別恐ろしいものであるという認識は高くないけれど、イジメで殺されていく人がいるのは、弱者が自殺に追い込まれるような状況があるのは自明。 部落差別や、民族差別や(朝鮮人学校の生徒が制服を標的にされて地下鉄線路にホームから突き落とされそうになってたりね)、性差別、挙げだしたらきりがない、弱者を強者がカテゴリーに押し込めるような差別があって、それが暴力につながっているのは事実。 アメリカの持っている問題と日本にあることは、違っていることも多いけれど、共通することもあって、その一つは犯罪加害者のほとんどは「男」で、「男」を育てているのは「男」だけじゃないという部分と思う。 私の中の「男らしさ」が暴力になって自分自身や他人を食い尽くす前に、問題の非暴力な解決法をもっと探したい、実践したい、そしてできたら、提案もしたい。私の中の「女らしさ」や「男らしさ」とちゃんと向き合って行きたい、外にある「男らしさ」と「女らしさ」のあり方だけじゃなくてね。そこからしか、何も始まらないとも思うんだ。そうじゃなきゃ、暴力も非暴力も語れないと思う。 Text by Janis Cherry <<参考URLなど>> http://www.alles.or.jp/~rinkogun/laramie2.html http://www.newlightmedia.org/ このビデオを私の解説付きで見たい人は連絡ください。興味のある人が多ければ教育用の上映権を買い取ってもいいと思ってはいますが。 http://www.hrc.org/issues/hate_crimes/index.asp 日本のLGBTが被害者のヘイト・クライムについての情報と相談受付 http://www.occur.or.jp/index.htm http://www.gb-sos.com/index.html 「このサイトは GB(ゲイ・バッシング)* に関する情報を発信して、トラブルの相談や対処に活かすことを目的としています。*同性愛者に対する暴力や脅迫等」 http://www.hatecrime.org/ anti-gay をはじめとするヘイト・クライム全体を理解するために。ヘイト・グループのリンクまであってすごい気合。 Love to Hate: America's Obsession With Hatred and Violence Jody M. Roy (著) 定価: $22.50 amazon.co.jp 価格:¥2,622 ペーパーバック 出版社: Columbia Univ Pr ; ISBN: 0231125690 ; (11/2002) 27.05.03 Uploaded by Janis Cherry Copyright © 2002-2008 "iratsume." All Rights Reserved. |