"iratsume" ->> Nihongo ->> 「分野別」essays ->> カワイイコニハマタタビヲハカセヨ 性別に自覚的になるということ〜イギリス最終章 (2) by Sammy

舞い上がっているWはどんな格好をしてみたいの? との質問に
「クリスマスの時に着てたスカート、あれ可愛かったなぁ。あれ履いてみたいと思ってたんだ」
と言うし、私はWが履いてる姿を想像してうーん、イケるのか? と自問自答してみたりしていた。

女装していたら私はいいのか? 女としてWを見るのか? それが私の理想なのか? 色々考えて、同時になんだか大変な荷物が降りかかってきたような重い気持ちだった。初めてカムアウトした人というのはやっぱり重くてそれが恋人となると、この人のこと一生面倒みなくちゃいけないのか?とか考えてユウウツだった。

同じセクシュアルマイノリティとしてうれしいという感情は勿論あったのだけど、如何せん自分が思いこんでたものへの自己嫌悪のほうが大きかったので単純に喜ぶことはできなかった。

そうこうしてる間にWは日本にやってきた。ディズニーシーもゲーセンも信長書店も楽しんで女装もしたし、とても充実した時間だった。 Wは将来日本で暮らしたいらしく、私もイギリスの永住権に惹かれていたので結婚しようかという話にまでなっていた。日本名を付けることに憧れているWは私の姓を名乗りたいというし、これはフェミ的にはイイコトだよね? と自分でも疑問系の残る納得の仕方で私は結婚を肯定しようとしていた。

しかしWとの別れはそれから1ヶ月もせずにやってきた。
私が日本に居るときに貸した金をさっさと返さなかったことや、私に依存しすぎていることや、誕生日を時差を考えずにメール送ってきたこととか書いてみると些細なことに思えるが、実際はこれはほんの一端に過ぎなかった。遠距離の問題もあったしお互い1年以上会わずに考え続けることは負担になるので、一度別れてみようという話になった。
1年後それでも想いあっていたらその時は籍を入れてもいいんじゃない? となったが、私はもうWにそこまで想えなくなってしまっていることに気づいていた。
これは私には新しい出会いがないとダメだわとネットの出逢い系に足を踏み入れた。色んな所に行って、マッチョな男たちにがっかりしたり、試行錯誤してその時Wと一緒に嵌っていたポップンミュージックというゲームのサークルで知り合った子と会った。その子は男の子ではめずらしくジャニーズが好きだとかゲイの子と喋ってるような話題をいつもしていた。ほんとカワイイ感じで私のバイ人生話なんかをすると、どうやら自分もバイなんじゃないかと思うと言ってきたのでますます楽しくなっていた。

そんな感じでWのことを忘れて夢中になっていた自分にはたと気づき、やはりWとはきっちり別れようと決心した。それからの作業はすさまじく大変だった。なんせ会って話すと言うこともできないし、来るといっても来ても気持ちは変わらないからと追い返し、相手を傷つけないように言った説明にも「Why? Why?」の攻撃で私は疲れて「だからもうキライなんだってば!」と私がやりたくないことまでやってしまった。そんなこんな騒ぎが1ヶ月近くも続いた! 私はよく付き合った。

でも、バイ疑惑の新しい彼氏も色々あってすぐ別れてしまった。

私はようやくひとりになって、旅で探し求めていたものの意味を改めて問うている。自分の可能性について問うている。私は「男」「女」という括りから逃れたくてバイセクシュアルという言葉を使うことも違和感を感じて過ごしてきたけれど、私自身の他者に対するラベリングの無自覚なことにイヤというほど気づかされた。

そして私はまだ試行錯誤を繰り返していて、他者と向き合う時、少し意識的に括りを外すことをしている。「あーなんかマッチョそうなオヤジだなぁ」な人が近寄ってきても「いや、この人ももしかしたら実は女になりたい人かもしれないし…」などと考えて、マジメに性的な話も語ったらセクハラされて私は更に混乱をしている。
逆に「女同士だから」セクハラ発言されても仲良くしようなどとは思わなくなった。

そんなことは、とうにわかりきっていたことじゃないかと文字にしてみると思うのだが、実際思っていることと行動してみることのギャップがようやく納得いったということなのか。

性別なんてどーでもいい。でも意識してしまう自分。やっぱりビアンイベントも行きたいし、コテコテのオネエハウスがかかるクラブでゲイッ子とハグしてキャーキャー言って踊るのは楽しいし、会社に行けば、「こないだラブホから男のカップルが出てきたのを見たよー、ホモだよ絶対! 気持ち悪いわねー」なんて言う会話にうんざりして貝のように黙っている自分も居る。私は場所を線引きしていている自分に自覚的になっている。
もっと自覚的であれ!私は自分に言い聞かせて生きたい。

おわり。

*

追記: もう気づいたら日本を出てから2年以上経ってしまいました。早いねー。最後の方は思い返し書いてたので、少し曖昧な時間の流れが多いし台詞も完全じゃないんです。ごめんなさい。なかなか個人的な内容なので思い出すのもしんどい作業ではあったので、あまり読み返さずに書いちゃいました。文章おかしいところとかあったら言ってください。多分あると思います。まーようやくイギリスの旅も終わったー!なんて思ってたら。
今月またイギリスに行きます。といっても短期だけど。ジョンさんにもWにも会えたらいいなと思ってます。今回の旅行はメインはイギリスではなく、中欧なのでそちらの情報をお楽しみに! がんばってヨーロッパ最新ビアン情報掴んで帰ってくるからねー。いやいや、ほんまに情報少なくて涙出そうになります。ひとり旅だし食べることと泊まるとこで精一杯になっちゃうかもしんないけど、今回は下調べそれなりにしてるんで。プラハの町では一件は行くぞ! お楽しみに!

サミィ
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    13.11.05
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