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"iratsume" ->> Nihongo ->> 「分野別」エッセイ・ニュース ->> シエラレオネのレズビアン
シエラレオネのレズビアン アフリカの、シエラレオネという国を知っていますか?私はこの前まで知りませんでした。そこにもレズビアンはいて、LGBTのグループがあります。その運営スタッフが先月末事務所で仕事中に押し入られ、レイプされ、首を折られて、殺されました。彼女の名は、FannyAnn Eddy(ファニーアン・エディ、と読むのかな)30歳。一時政情不安のため難民としてシエラレオネから南アフリカ共和国へ離れた後、国に戻り Sierra Leone Lesbian and Gay Association (SLLAGA:「シエラレオネ・レズビアン&ゲイ連合」といったところか) を立ち上げました。殺された彼女には9歳の子どもと南アフリカに住むガールフレンドがいて…送金先は公開されています。余裕のある方は見てみてください。彼女が襲われたのは、彼女がレズビアンで、LGBTアクティビストだったから [1]。だからこそ、適正な捜査と裁判が行われるよう、いくつもの人権団体のウェブサイトでこの事件は取り上げられています。Eddyさんは第60回国連人権委員会に宛てた公式の手紙を書いています。下に、それを訳しておきます。[原文はこちら Testimony by FannyAnn Eddy at the U.N. Commission on Human Rights (Human Rights Watch, 4-10-2004)] * * * 委員のみなさま、 私はFannyAnn Eddy といい、MADREを代表してここに来ています。私はまた、Sierra Leone Lesbian and Gay Association のメンバーでもあります。 この機会に、私は私の大好きな国、シエラレオネだけでなく、アフリカ全土で、特に危険にさらされているグループや個人がおかれている厳しい状況に注意を向けていただきたいと思っています。 私が特に焦点を当てたいのは、アフリカの指導者たちが取り上げない、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーのコミュニティです。事実、アフリカの指導者たちは、私たちが存在していることすら認めたくないのです。彼らの現状否定が私たちのコミュニティに多くの悲惨な結果をもたらしています。 私たちは存在しているのです。けれども、その存在を否定されているので、私たちは常に不安:単に自分の性的指向が理由で、警察や権力を持った役人たちが逮捕・拘留するのではないかという不安の中で生きています。 たとえば、最近ではフリータウンで若いゲイの男性が女性の格好をしていたために逮捕されました。彼は丸々一週間、何の罪でもないのに、拘留されていたのです。私は個人的に彼を釈放するよう当局に抗議することができましたが、ほとんどの人は彼のように無制限に捕まえられてしまいます。というのも私たちのうちごく少数しか声をあげることができないからなのです。 レズビアンやゲイやバイセクシュアル、トランスジェンダーの人たちがアイデンティティが明らかになるや家を追い出されるのは決して珍しいことではないので、私たちは家族から勘当されるのではないかとおびえながら生きています。性的指向や性自認が理由で家を追い出された多くの人たちは、若くて行くところがなく、したがってホームレスになり、食べるものもなく、結局生き抜くためにセックスワークに携わります。 私たちは、同じ地域に住む人たちや他人からの日常的ないやがらせや暴力にコミュニティ内で直面しつつ生きています。彼らのホモフォビック(同性愛嫌悪的)な攻撃は、権力者に処罰されることはありません。彼らのレズビアンやゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの人々に対する差別的、暴力的な振る舞いはむしろ奨励されているのです。 アフリカのリーダーたちが、文化や伝統、宗教、社会的基準を持ち出して、私たちの存在を否定するとき、それは、差別や暴力そしてすべてにおいて侮蔑することに彼らが寛容でいるというメッセージです。 この否認は、HIV/AIDSの文脈において、特に悲惨な結果をもたらしています。2003年12月に発行された、Sierra Leone Lesbian and Gay Association と Health Way Sierra Leone が共同で行った最近の調査研究によれば、男性とセックスする男性の90パーセントが彼らの妻やガールフレンドの女性とセックスしています。このうち、85パーセントはコンドームを使わないと答えています。つまり性教育とHIV感染についての知識がシエラレオネのこの男性たちには届いていないことは明白です。多くの男性が自身の内面の欲求から結婚しているのではなく、社会的に要求されているから―彼らが生きているのは性的指向が理由で自分の人生や自由が狭められ脅かされるような社会であるから―結婚していることは明らかです。彼らの周囲には沈黙が立ち込めていて―彼らの存在は認められることもあるいは彼らの健康医療問題は取り上げることも拒否されていて―結果彼らだけでなく、その妻やガールフレンドたちも危険にさらされているのです。 けれどもこういった困難はあるのですが、レズビアンやゲイの人たちの人権がより尊重されるようになるために、この委員会がもとからの品位と尊敬に値することを私は信じています。性的指向による差別を禁じる憲法のある南アフリカでの自由獲得のための戦いが証明するように、人権を尊重することで社会は変わりうるのです。そうして、私たちはみな人であり、尊敬に値し人としての品位が尊重されるべき存在であることを人々は最後には理解するようになるのです。 沈黙は傷つけられやすさ・攻撃されやすさを作り出します。人権委員会の委員のみなさん、あなた方にはこの沈黙を破ることができるのです。あなた方は、アフリカ中に、そしてどの大陸にも私たちが存在することを認めることができるのです。そして、性的指向や性自認が理由で人権侵害が日々行われていることを認めることができるのです。あなた方は、私たちのそういった侵害との戦い、完全な権利と自由を得る戦いを助けられるのです。すべての社会での、私の愛するシエラレオネを含めて。 Text/translation by Janis Cherry << 参考URL >> http://www.mask.org.za/ http://www.mask.org.za/sections/Women/newlook/gnd/gnd012.htm このプロフィール(インタビュー)が書かれたのは2004年2月。すっごく真面目な回答、でもユーモアも。 http://www.mask.org.za/sections/AfricaPerCountry/ABC/sierra%20leone/sierra%20leone_6.htm(送金先情報) http://www.madre.org/ http://www.madre.org/articles/afr/fannyann.html 彼女はMADRE(女性団体)を代表して意見を述べる人(選出された議員;Representative)だったので、こちらのウェブサイトにも記事があります。 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/s_leone/ [1] 2005年1月6日追記: 殺人の罪で、事件の数週間前にファニーアンさんが解雇した男が逮捕されたそうです。今のところ、動機は同性愛者だったから、というのではなく盗むためだったとのこと。 06.01.05 updated 21.10.04 updated 18.10.04 Copyright © 2002-2008 "iratsume." All Rights Reserved. |