"iratsume" ->> Nihongo ->> 「分野別」Essays/Feminist News ->> エッセイ カワイイコニハマタタビヲハカセヨ ポジティブ・ブス?

へろへろになって帰ってきて、ベッドに倒れ込もうとしたら、枕元に「魅惑のブス」が。いや、私がほったらかしにしてたんだけど。
でも、微妙に凹んだ。なぜ?

「ブスブスブスー」ブスなんて言葉くらいで動じなくなった私だから、改めて自分がブスかどうかなんて考えるのがツライ。
一般的に美人と言われる要素、スリムでパーツがちっちゃくて、お目めパッチリで、スベスベ素肌で、足が長くて、クールで … に比べ。
勉強ができることを守りにしてた小学生時代から、成績も落ちてお笑い系に走った中学生時代、そして「そばかすだって、あたしのチャームポイント★」なオリーブ少女時代を通り過ぎ、とにかく実践、ハッテンハッテンな大学生時代も終わり … ヒトリの気楽さを満喫し、10 キロ減量計画も順調にいってた近頃。

だけど、未だに「ブス」とか「デブ」とかに反応してストレス溜めてる自分って何だろう。
ボディサイズ聞かれて答えられなくて、自己嫌悪してる自分って何だろう。
本当にコンプレックスの固まりで、側を通った人が笑えば、自分が笑われてると思って泣いてた頃の自分に自信をくれたのは、こんなコンプレックスな自分を「スキ」と言ってくれた友人だ。慰めじゃなくって、ココロから私のそばかすをカッコイイ!と言ってくれた友人だ。
だから、私は自分をスキになろうと決めた。

蕁麻疹で赤く跡が残った足を隠すのはやめた。厚さ 1 センチのファンデーションでそばかすを消すのもやめようと思った。今より 8 キロ太ってた自己最高デブだった時も、自分のデブアイデンティティーをスキだと思うようにしていた。

私が減量を始めたのは、「キレイ」に近づきたかったからじゃない。着たい服があったから。思いっきり走りたかったから。眠りが浅いのをなんとかしたかったから。冷え性を解消したかったから。

そうやって、あくまでも「ブス」を否定したくはなかった。

だけどもうリバウンドしたくはないと思っている。そばかすだって消える薬があったら付けてみるかもしれない。そんなことを一瞬だって思う自分。矛盾だらけの自分。そんなことにふと気付いて悔しくて泣けた。
何をそんなにがんばらなくちゃいけなかったのか、そうさせたモノに腹が立った。

同性愛者の可能性を選んだ自分。異性愛者の可能性に少し甘えたかった自分。
なんとなく、このまま変わらずに生き続けるのはツライ。自分に明確な名前をつけたいのではなくて、環境を一転して新しい場所で、自分はどう振る舞えるのかを試してみたい。

13.08.2003
Text by Sammy
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    30.09.03
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