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ドメスティック・バイオレンスをめぐって(2)

最近の調査では、夫や恋人からの暴力を受けたことがある人は、日本では19%(内閣府 2003年4月11日発表「配偶者等からの暴力に関する調査」)、アメリカだと調査によって結果にばらつきがあるものの30%から25%。

で、今のところ米国では、DVで怪我したんじゃない?と医療関係者が分かったときには警察に「絶対」通報するように、ってことにいくつかの州の法律でなってるらしいのですが、それがベストじゃない場合もあるという。(Better Treatment Sought for Domestic Violence Epidemic [Women's eNews: April 15 2003] http://www.womensenews.org/article.cfm?aid=1292

警察や、ソーシャルワーカーが取れる措置では上手くいかないことってある。捕まえても、理由付けが十分でなかったら、ずっと捕まえては置けない。DVは、被害者が加害者から離れようとするとき、最も激しくなるものなんだけど、その予想だけで人を拘束しつづけるのは難しい。被害者の安全が確保できる保証はどこにもない。

このWomen's eNewsの記事によれば、特にかかりつけの家庭医と呼ばれるような医師は、通報を躊躇しがちになる。一方、救急医療担当の医師は、実際ひどい怪我を目の当たりにしているし、患者とパートナーの具体的で複雑な状況をあまり知らないことが多いから、通報するのにそれほどは躊躇せずに済むんですって。

とりあえずできることは、DV被害者じゃないかな、と思う患者さんにはDV受けてない?という質問をする(統計で言うとかなりの割合だから女性という女性に聞いていこうってことになる)。それから、もしそういう事態になっていたら、こんな組織があって、ここに連絡すれば何とかなるかもしれなくって、必要な準備はこんなことじゃないかな、という情報提供をしていこう。患者(DV被害者)本人が自分の意志でその人のこれからを選択できるような手助けをしていくのが結局は一番大事。
なーんて、前向きに書いていますが、実際のところ解決までの道のりって厳しい。。

それから、これは米国の話だからまだここまで言えるのかもしれないんだよね。
DV防止法のあと、医療関係者養成課程中にDVについて勉強するように変更された?日本では看護師の半分近くがDV被害を見つけても、通報することはないというアンケート結果があったし(日本のDV防止法では、被害を見つけたら通報する努力義務がある)、DVってあまりにも日常的すぎてまだまだ「たいしたことない」と見過ごされているんじゃないかしら。

そんなことを思いつつ、記事の最後に紹介されているサイト、Family Violence Prevention Fund http://www.endabuse.org/ を見ていたら、男の子を加害者にしないためにとっととその辺教えとけ、というキャンペーンページがありました。
暴力で問題を解決しようとしたって他人が、あるいは自分が傷つくだけで何にも生み出さない。大人が分かっているなら子どもにも言っておきましょう、厳しく(体罰禁止)。

Text by Janis Cherry
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    参考記事: 19%の女性がDV被害 誰にも相談せず42% (共同通信)

     夫や恋人から殴るけるといった暴行、精神的脅迫、性的行為の強要など「ドメスティック・バイオレンス」(DV)被害を19・1%の女性が受け、命の危険を感じた経験を持っている女性も4・4%に上ることが、内閣府が11日発表した「配偶者等からの暴力に関する調査」で分かった。
     被害を受けた女性の42・1%が「誰にも相談しなかった」と回答し、被害が潜在化する傾向にあることも浮き彫りとなった。内閣府は「事態は深刻だ」として、被害者保護が不十分との指摘があるDV防止法の改正や広報徹底などで対策を強化していく方針だ。
     調査は昨秋、全国の20歳以上の男女計4500人を対象に実施し、73・8%が回答した。1999年の前回調査は夫婦間の暴力に限定していたが、今回は未婚者にまで範囲を拡大した。被害体験を尋ねたところ、身体的暴行は15・5%、精神的脅迫は5・6%、性的行為の強要は9・0%の女性が「受けた」と回答。(共同通信) [4月11日20時45分]


    23.04.03
    Uploaded by Janis Cherry


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