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k.d. lang

k.d.lang ほどどのカテゴリーに入れれば良いのか迷うアーティストはいないかもしれない。現在の彼女はロック?カントリー?コンテンポラリー?ポップス?とどこに入れてもクエスチョンマークがついて回ります。

先日の45回グラミー賞ではトニー ベネットとのデュエットでポップス共同作品ヴォーカル部門にノミネートされています。

が、1984年のデビューから90年初めまではカントリーでしかなかったようです。過去のグラミー賞受賞歴はカントリー共同作品ヴォーカル部門(1989)とカントリー女性ヴォーカルパフォーマンス部門(1990)とカントリーが続き、女性ヴォーカル部門(1993)、これはオールジャンルですね。

1961年、カナダ生まれ。メジャーで活躍するレズビアン・シンガーという色物扱いされそうなレッテルを引き受ける前にカントリーでは売れていた彼女。キャリアを棒に振る覚悟をしてのジャンル越えやゲイとカミングアウトした、というより正直に生きていこうとしたらこうなった、と言える立場に現在あります。

それでもなお、新しいことに挑戦してるなぁ、と思わされること多々。完全リクエストオンリーのライブなんてやってたり、ゲイ・リブに絡んで、Human Rights Campaign(米国最大のLGBT人権団体 http://www.hrc.com/)のゲイ・レズビアンアーティストによるライブに参加してたり。

そんな外面も私としてはプラス評価ですが、ラングはなんといっても声が魅力。誰と歌っていても、ラングだ!と耳で分かる印象の強さに惹かれる。
これを読んで k.d.lang に興味を持ったら、あなたがどんなジャンルの音楽好きでも聴いてみるべし。でも、ひょっとしたらすでにどこかで耳にしていて気になっている「あの声」かもしれませんよ。






  • k.d. lang 公式サイト www.kdlang.com

    <<アルバム作品の一部>>
    ingenue_cover Ingenue (03/1992)
    邦題:アンジャニュウ
    彼女のアルバムの中で最も売れた一枚。この作品以降、カントリーと呼べなくなったらしい。名残はありますが、もっとロック、いやポップスに近いかな。ラテンやエキゾチックな香りのする作品あり。アルバムの曲が進むにつれ新しい顔が見える。

    10曲目の"Constant Craving" は大ヒットで、グラミーも取ったのですが、その後97年の The Rolling Stones "Anybody seen my baby?" という曲がそれに「偶然にも」似てしまい、リリース時に彼女とその共同作者(B.Mink)の二人が "Anybody ..." の作者として付け足されています。2つの楽曲はコード進行はもちろん、サビのメロディーラインが全く同じなのだけれど、歌い手も音も違うから聞き比べると面白いかもしれません。
    当然のようにストーンズの同曲もまた、ヒットしました。収録されているアルバムは "Bridges to Babylon" 邦題:ブリッジズ・トゥ・バビロン。




    all_you_can_eat_cover All You Can Eat (10/1995)
    邦題:ワールド・オブ・ラヴ
    All you can eatとは食べ放題、バイキング形式のこと。中華料理レストランをもじって、消費されるラングをイメージしたような写真が妙。音的にはアダルトコンテンポラリー(ゆったりしたメロディアスなロック)やリミックス・ダンス系にも近い仕上がりで、同じフレーズが繰り返し現れるループが多用されている。




    invincible_summer_cover Invincible Summer (06/2000)
    邦題:インヴィンシブル・サマー
    さわやかです。ギターの音がきれい。ラングの声に華奢な伴奏がぎりぎり耐えてるという感じ。個人的には一番好きです。ジャケットもリラックスしてる表情が見えて、音とよく合っている。
    GLLAAD* Media Award for Outstanding Music Album にノミネートされています(2001)。


    * GLAAD:Gay & Lesbian Alliance Against Defamation http://www.glaad.org/



    Text by Janis Cherry

  • ライタープロフィール
    02.03.2003
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